johnnyjumpup's blog

アニメ、まんが、CD等のおぼえがき

キングダム・オブ・ヘヴン

 聖地エルサレムを巡る、英雄サラディン率いるイスラム軍となんとか王の十字軍の攻防。エルサレムを陣取っている十字軍だが、いまは平和的統治を望んで実行している。だが軍の不満分子はイスラム軍との戦争をすぐにでも仕掛けようと手ぐすねひいている……
 けっきょく戦争になるのですが戦闘シーンではなんといっても投石機! ものすごい高みからこれまたものすごい速さで火の石が降ってくる。勝てる気がしない。それから、『ロード・オブ・ザ・リング』ではついぞなかった、城壁の上から油をまいて火をつけるという荒技。煮えた油や焼け熔けた鉄はありませんでしたが……いくら平和をのぞんでいても、いったん戦争になればそれは脇に置いておかねばならない。市民を護るため、平和のためと大義名分をかかげればいくらか慰めにもなろうが、捉えかたは様々だろうし、たとえば平和のために戦ったというのが事実であっても、のちの世の人びとがあれは征服のための戦争だったと言ってそれを流布して責めたてればいずれは歴史がそうなってしまう。それを恐れていてはなにも始まらないのだが……もちろん端から争わなければそれが良いにこしたことはない。
 ところで、最初から住んでいた者はともかく、なぜ遠方から聖地を手にいれようと攻めたのだろう? ふるさとは遠きにありて思うもの、と室生犀星が詠んだが、聖地もそうではないかと無宗教のわたしは思うのだが……騎士バリアンにエルサレムとはなにかと問われて英雄サラディンは言った、「無だ。……だがすべてだ」
 余談ですが、最後のシーンのサラディンの衣装が素敵だった。なんだか黒い花嫁さんみたいでw